多重下請け構造の脱却は可能か?エンジニアスキル向上の壁

2022.09.02

多重下請け構造の脱却は可能か?エンジニアスキル向上の壁

多重下請け構造とは

多重下請け構造とは主にIT業界などに多く見られる構造で、発注者から委託された業務の一部または大部分を、プライムベンダーが下請けする二次請け企業、さらにその下層の企業に流していく構造をいいます。

もともと「多重下請け構造」は、大手ゼネコンが大型の仕事を取り、受注した仕事を分割して複数の中堅企業に仕事を依頼するという建設業界の仕事の流れで良く使われていた言葉でした。

IT業界がアクティブになってからは、プライムベンダーが仕様書や設計書類を作り、プログラミングやテストを二次請け企業へ依頼し、さらにその下にいる三次請け企業へコストや手間がかかる仕事を流す構造が見受けられます。 

このようなピラミッド型の階層構造が建設業界に似ていることから、一次請けになっている大手IT企業を「ITゼネコン」とも呼ぶことがあります。

多重下請け構造での契約種別

IT業界の多重下請け構造は大きく分けて3種類あります。

・請負契約

請負契約は、受注者が納期までに完成した納品成果物を引き渡すことを約束する契約です。

IT業界では、開発システム一式を成果物とするケースが多く、受注側が開発の責任を担い、開発プロジェクトを進行させます。

請負契約は成果物を納品することがゴールなので、誰が・どのような順序で・いつ作業したなどは問題になりません。

そのため、下請けや二次請け、三次請けへの依頼が可能となります。

・派遣契約

派遣契約は、一般的な派遣契約と同じように労働者を派遣先企業の業務に就業させる契約です。

プロジェクトの人員不足による補填などで活用されることが多く、発注側に指揮命令権が所在するので、派遣労働者は業務における完成責任を負うことはありません。

・準委任契約

準委任契約は、委託者が受託者に対して一部の作業を委託するときに交わされる契約です。

ベンダー側は「決められた作業を遂行する」だけ、つまりシステムのテストのような仕事を請け負うだけなので、請負契約のようにシステム全体を完成させる必要はなく、発注側に指揮命令権を与えません。

多重下請け構造には問題点が多い

多重下請け構造には問題点が多い

多重下請け構造は、いわばエンジニアによる分業で、建設業や製造業のようなモノづくりの伝統的な手法でもあります。

しかし、製造業とは違うIT業界は下請け構造ではありますが、システムは完成したら終わりではなく、その後もバグの修正や改修を繰り返す必要も発生するでしょう。

そのため、多数の問題が生まれやすく、それは先にあげた契約種別に関わる問題でもあります。

品質責任の所在が曖昧になる

多重下請け構造で多く発生するのが、完成イメージの食い違いやトラブル発生時の対応遅延です。

ウォーターフォール方式とよばれる多重下請け構造は、滝のように上から下へ上流工程から下流工程へと順番に開発が進められていく開発手法なので、伝言ゲームのように下請け会社へ情報が流されます。

そのため、要望に沿う完成品が発注者へ納品されなかった場合は、どの段階でイメージが逸脱したか分かりにくくなり、層が厚いほどプロセスが細分化されるため、要望に沿う完成品でなくなるリスクが起こりやすくなるといえます。

また、トラブルが発生した際に発注者は請負契約をした企業へ解決を依頼しますが、請負契約をした企業が準委任契約や派遣契約のエンジニアを使用していた場合、トラブル解決までに時間がかかることもあるでしょう。

労働環境の悪化によるエンジニアの育成不足

多重下請け構造では、途中階層にいる企業が管理コストだけを差し引いて下請け企業に仕事を丸投げするケースが生まれ、下請け企業の売り上げが微々たる額になっている事例も問題視されています。

多重下請け構造において、実際に仕事を遂行しているのは末端のエンジニアです。

二次請けからの仕事を請け負う三次請けや四次請けのエンジニアたちは、上層で利益が大幅に中抜きされた結果、所属する会社からの給与が低くなっています。

加えて、末端層にあたる企業は、安い報酬で多大な業務負荷を背負うことになるので、長時間労働や休日出勤、残業代未払いなどの温床となっているのです。

労働環境の悪化は離職を促し、人材不足に陥ります。

一方で、プライムベンダーや二次請けのエンジニアは管理業務が主になるため、エンジニアとしてのスキルアップデートがしにくいとの問題も指摘されています。

さまざまな機能階層で業務をこなす機会を失ったエンジニアは、技術力の向上が見込みにくい状況に陥り、低スキルの環境から抜け出せず、結果的に給与アップにつながりにくくなっています。

このように、低待遇や低スキルの環境、つまりエンジニアの労働環境の悪化から抜け出せない点も多重下請け構造においての課題です。

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多重下請け構造は市場競争力の低下を招く

多重下請け構造での開発が当たり前になっている日本では、市場全体の競争力低下が懸念されています。

この事象は、主にプライムベンダーと末端企業の待遇格差による、下請け企業を中心としたエンジニア市場全体の疲弊です。

今まで通りに多重下請け構造が市場全体で蔓延し続けると、下請け企業の生産性は低下のまま横ばいになることが考えられ、エンジニアの就労環境の悪化や低収入の状態が継続されます。

プライムベンダーや二次請けと共に、三次請けや四次請けのエンジニアたちはモチベーションを失い、品質の低下を招かざる負えないでしょう。

これは下降の連鎖になり、悪影響の範囲は一企業に留まらず、市場全体の課題といえます。

多重下請け構造が続く理由は

多重下請け構造が続く理由は

コストロスの削減

多重下請け構造が続く背景のひとつに、プライムベンダーによる人員余剰を避ける動きがあります。

ひとつのプロジェクトに充てる必要人員を自社エンジニアで賄おうとすると、人員を採用する費用や抱える人件費、プロジェクト終了後にはヒューマンリソースが過剰になることも予想されます。

その点、派遣契約のエンジニアを必要な時だけ必要な人員を獲得すれば、人員コストのロスを削減できるため、多重下請け構造が根付いてしまったと考えられます。

企業のパワーバランス

多重下請け構造が続く理由に、市場全体での発注者と受注者(下請け会社)のパワーバランスが定着しているといった逃れられない事実があります。

当たり前のようですが、発注者はコストを抑え、受注者は利益を得られるようにして仕事は回っているので、下請けへ発注する際は受注時よりも安い単価で下請けに委託します。

この流れは、末端の企業になるほど損をしていることになるので、多くの下請け企業がより上層の工程で業務を引き受けたいと考えるでしょう。

しかし、上層の仕事を引き受けられる企業はすでに一定の実績を出している企業が占めており、実績が付いていない下層の企業は下請けの業務を引き受けることしかできないのです。

多重下請け構造から脱却するメリット

多重下請け構造から脱却するメリット

多重下請け構造から脱却するメリットは2つに分けられますが、どれもIT産業にとって生産性を生み出し、競争力を向上させるうえで重要な課題です。

多重下請け構造はIT市場全体に根付いてしまっていますが、経済産業省でも多重下請け構造から脱却するための政策を打ち出しているように、デメリット回避の観点から構造からの脱却の流れが加速し始めています。

多重下請け構造から脱却するメリット1:開発スピード・品質の向上

多重下請け構造から脱却する大きなメリットは、開発スピードの向上です。

発注企業からの仕事を、要件定義から基本設計、プログラム設計、試験などのシステム開発、そして納品まですべて自社内で完結することにより、多重下請け構造の問題である「品質責任の所在が曖昧」「完成イメージの食い違い」から脱却できます。

また、密な打ち合わせによる全体的な品質の向上が期待できるほか、要件変更やトラブル発生時にもスピーディな対応が可能となります。

多重下請け構造から脱却するメリット2:自社エンジニアのスキルアップ

多重下請け構造から脱却するメリットには、自社エンジニアのスキルアップに繋がる可能性もあります。

自社がプライムベンダーになり仕事を下請けに流してしまうデメリットとして、エンジニアとしてのスキルアップデートがしにくいという問題があります。

自社内で完結した場合は、全ての開発に伴う課題や解決策をナレッジとして蓄積できるため、自社エンジニアのスキルアップに繋がるでしょう。

さらに、実績として広報活動でき、以降の開発に役立てられるので、次の仕事を取得しやすくなることが期待できます。

多重下請け構造から脱却するには

多重下請け構造から脱却するには

多重下請け構造から脱却するには、ウォーターフォール形式の開発手法を断ち切り、多重下請け構造を変えていかなければなりません。

このとき高いハードルになるのが、高いスキルを持つ人材の確保です。

なぜなら、今まで自社で賄えなかった開発をすべて自社で完結することになるので、クオリティや仕事量などのスキルを必要とするからです。

この課題は、システム開発を依頼する発注者と多重下請けを脱却したい受注者の両方に必要なものといえます。

この課題に対して解決のカギとなるのが、システム開発企業と全国のSES企業をつなぐマッチングプラットフォームです。

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まとめ

多重下請け構造の脱却は可能か?エンジニアスキル向上の壁 まとめ

多重下請け構造から脱却すると、企業だけでなく、現場で活躍するエンジニア側も恩恵が大きくなります。

それは、多重下請け構造の問題である「品質責任の所在が曖昧」「エンジニアの育成不足」「労働環境の悪化」から抜け出し、エンジニア自身のモチベーションアップに繋がるからです。

このまま現状の多重下請け構造が継続していては、エンジニアスキル向上の壁が高くなり、市場競争力の低下を招く可能性があります。

企業イメージを上げるためにも、多重下請け構造から脱却するポテンシャルを持ち、日本のIT市場を大きく飛躍させましょう。

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